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I love Salzburg

I love Salzburg

'12 (平成24年)

・「平家物語の女性たち」  永井路子  '12.06.24~06.27  285P

  私にとって、平家物語はあはれの文学である。
  それは、源氏物語のあはれとは少し違う。
  自分の意思に関わらず、明らかに傾きつつある時代の、大きな渦に巻き込まれていった多くの人達の、時に栄華を、そして偏に風の前の塵に同じ、、、を。
  けれど、やはり男側から見る平家物語は軍記物としての色合いの方が強い。
  その男たちの陰に隠れた、多くを語らない女達にスポットを当て、筆者独自の視点から見た平家物語がここにはある。

  とりわけ私は時子(清盛の妻)が好きだ。
  肝の据わった、覚悟ある人物は男であれ女であれ、傍から見ても気持ちが良い。
  壇ノ浦の場面の、神器と安徳帝を抱いて入水する彼女の姿には息を呑む。
  そこには平家の全てを知り、全てを背負い、その誇りを貫く気迫が、死を目の前にして生き生きと描かれている。
  それは、筆者の時子への思いが一層強く現れている場面であり、原文の平家物語と同じく本作品の見どころの一つだと思う。

  そして、これはただ軍記物としての脇役の女性の物語を記しただけではない。
  平家物語が伝えようとしていること、平家物語の作者の立場、読み物と語り物としての平家物語の違いなど、小説家ならではの想像力を膨らませ、
  読み応えある作品に仕上げているあたり、さすがだなと思う。


・「新・平家物語(一)」  吉川英治  '12.06.28~07.12  457P 
  
  いきなり引き込まれてしまった。
  この時代に疎い私でも面白いと感じる話の展開。

  1巻からこれほどのドラマが繰り広げられるとは、続きが非常に楽しみである。
  いつの世も、人間の浅はかさは同じだなと、つくづく思う。
  それと同時に、世に悪評高い平清盛も、普通の愛すべき男児であったことを嬉しくも思う。(笑)  


・「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」  米原万里  '12.07.12~07.14  301P

  これは面白い!
  著者を通して、これまでとは違う角度で東欧の歴史を知ることができ、とても勉強になる。
  過酷な現実が、私の多感な高校・大学時代にも世界のどこかで多くの人々を傷つけてきたこと、
  その時代に生きていながらも、その現実を知らなかったこと、
  でも遅くはない、知った時から考えていくべき事柄も見えて来た。

  特に私は「白い都のヤスミンカ」が好き。
  半年前にバルカンを旅したおかげで、より身近に感じられたこの作品。
  少し歴史を知ってこの本を読んだからか、内容がリアルに頭の中で映像化された。
  もちろん、この本を読んでから改めて歴史を知るのも、難しく複雑な東欧の現代史を学ぶ時に役立つと思う。
  この本に出会えて本当に良かった。
  そして、昔から長い黒髪にこだわっていた自分の深層心理をも、自分で理解できた気がする。(笑)


・「心臓に毛が生えている理由」  米原万里  '12.07.14~07.20  272P

・「魔女の1ダース~正義と常識に冷や水を浴びせる13章」  米原万里  '12.07.20~07.24  294P

・「ロシアは今日も荒れ模様」  米原万里  '12.07.24~07.26  283P

・「ドナウの旅人(上)」<再読>  宮本輝  '12.09月  466P
・「ドナウの旅人(下)」<再読>  宮本輝  '12.09月  477P

・「オリエント急行の殺人」  アガサ・クリスティ  '12.10.29~10.30  413P

「滅亡の暗号(上)」  ダスティン・トマスン  '12.12.10~12.13  296P  
・「滅亡の暗号(下)」  ダスティン・トマスン  '12.12.14~12.16  266P

「幸福の船」  平岩弓枝  '12.12.18~12.28  555p


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